不妊治療を始める前に
2022年4月から不妊治療の保険適用もスタートします。不妊治療に対する金額的ハードルは下がりますが、不妊治療はまだまだ精神的・体力的にも様々な負担が多く、できれば自然妊娠を望む方も多くいらっしゃいます。子供を授かる奇跡のために自分自身でできることや、不妊治療を始める前に知っておきたいことについて書いてみました。
[toc]不妊治療の現状
厚生労働省の調査によると、不妊を心配したことがあるカップルは約2.9組に1組(35.0%)であり、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または、今受けている)カップルは約5.5組に1組(18.2%)という結果が出ています。意外と多いですよね。
多くのカップルが共働きで、働きながら不妊治療を受けている方も増加傾向にあると言われてます。残念ながら、仕事と不妊治療との両立はなかなか厳しく、精神面での負担や、通院回数が多い、体力的な負担が多いといった理由から、仕事をやめたり、また、不妊治療自体をやめてしまうという方も多いようです。
「子供がほしい」と思ったときに、運よく妊娠できる方もいらっしゃいますが、数ヶ月の挑戦の末だったり、また、それでも残念ながら授からなかったため、不妊治療へすすむことになると思います。
子供を授かるとは
「子供を授かる」とは本当に奇跡の積み重ねです。
- (女性側)排卵がある
- (男性側)精子が作れている・射精ができる
- 卵子と精子が出会う
- 受精する(実は数えきれないほどの条件が重ならないと受精しません)
- 受精した胚が無事に細胞分割してくれる
- 子宮内膜に着床する
- 排卵から数えると約40週もお腹の中で無事に成長する
- 出産する
現代社会では、「これがほしい!」「あれがしたい!」と思った時に、どうにか努力すれば多くのものを手に入れることができます。また、「頭が痛い」って思った時には、頭痛薬を飲めば、その後比較的すぐに頭痛から解放されたりと、「欲求」→「結果」を得られることが多いですよね。
残念ながら、「子供を授かる」ということは、「ほしい」と思ったからと言って手に入いるものではありません。上述した奇跡の積み重ねが必要となります。
子供が授かる条件
もちろん、これが揃えば絶対に妊娠できます!といった条件はありません。
以下は、amica鍼灸院が考える子供を授かる条件とも言えますが、不妊治療を始める前に、ちょっと自分を見つめ直してみることもとても大切です。
お母さん・お父さん共に健康
東洋医学では次の世代を生み出すためには、お母さん、お父さんとも元気で、エネルギーがしっかりあることが大事であると考えます。親になるお二人が、疲れきり、体調が悪い状態では、次の世代を生み出すパワーになりません。
体調不良の例:
- 疲れが取れない(いつも疲れている)
- 頭痛が頻繁にある
- 冷えがある
- PMS / 月経痛といった月経周りのトラブルがある
- 便秘 / 下痢といったお通じに問題がある
- 胃もたれをすぐする
- 腰痛など痛みがある
- 集中できない
- 常にイライラしている ・・
など、上げていくとキリがないのですし、多少の問題はほとんどの人に当てはまってしまいますね。ここ数ヶ月、自分があまり元気な状態じゃないな。。って、感じる時は、それは体調があまり良くない時です。
月経周期が安定・排卵がある
月経はホルモンによって調整されています。そのため、月経はストレスが大きかったり、過度なダイエット、精神疲労、身体的疲労なのの影響が受けやすいものです。
また、毎月月経がきていても、実は排卵していなかったということもあり得ます。
そして、排卵時期を把握しておくことも大切です。排卵日は、教科書的には、月経がおおよそ28日周期の場合、月経開始から14日目前後で排卵すると言われています。が、実は人によって様々ですし、同じ人でも月によって1〜3日程度のずれはよくあることとも言えます。
排卵日を知る方法としては、
- 基礎体温をつける
- 排卵検査薬を使う
- クリニックで卵胞の育ちをチェックしてもらう
夫婦生活(セックス)が定期的
病院やクリニックでの不妊治療に加えて、鍼灸院にわざわざ来てくれているのに、話を聞いてみると、「子供は欲しいけど、夫婦生活があまり・・・」というカップルが実は増えています。 また、セックスは月に1回、排卵予定日だけ!って方も以外に多いのです。
当たり前ですが、セックスをしないと妊娠はしません。忙しいとは思いますが、可能であれば週に2回くらいは頻度を持てると1年で80%の方は妊娠に至るといったデータもあるそうです。
さらに、排卵日前後には2〜3回はできるとより確率が上がります。ちなみに、射精後の精子や排卵後の卵子の寿命は
精子:36 〜 48時間
卵子:12 〜 24時間
と、精子の方が長く待っていられるのです。そのため、排卵日の1日前と2日前の性交渉があった時の妊娠率が高いと言われています。
出典:「Optimizing natural fertility: a committee opinion」 Fertil Steril 2017; 107: 52 2022.02.11
また、妊活を始めたら「セックスレス」になってしまった。というカップルもいます。
今まで治療してきた方のお話を聞くと、やはり「この日がタイミングとる日だから」と旦那さんに伝えると、それはそれで旦那さんもプレッシャーになってしまうそうです。プレッシャーに感じさせないためにも、定期的に週2回程度、2人で楽しみながら頻度がもてると良いですね。
仕事や日常生活で疲れきってしまっていて、夫婦生活の時間をとることが難しいという方もいらっしゃいますが、子供ができた時のことを想像してください。子供ができたら、「疲れている」とか、「忙しい!」なんて言っていられません。
幸せな夫婦生活をもつことは、実は妊娠だけでなく、ホルモンバランスを安定させ、また、若返り効果も期待できるんです。セックスレスのカップルと比べて平均5-7歳も若く見られるっていう報告まであるようですよ!
不妊治療検査の重要性
妊娠を希望するのであれば、まずは、不妊治療の検査だけはしておくことを大事です。
不妊検査をして、何か問題が指摘された場合は、それらを改善することで妊娠により近づきます。例えば、器質的問題、例えば、卵管が詰まっているとか子宮に奇形がある、男性側だと無精子症といった場合は、鍼灸治療で体質改善でどうにかなる問題ではありません。(もちろん、自分達でタイミングをいくら頑張っていても、妊娠までにはだいぶ遠い道のりになります)
不妊検査をして、何も問題が指摘されなかった場合は、鍼灸治療の出番です。
不妊治療前における鍼灸治療のメリット
不妊治療前における鍼灸治療のメリットは、
- さまざまな体調不良を改善
- 月経の問題を改善
といった、身体の不調へのアプローチです。
また、実際には鍼灸治療というわけではありませんが、不妊カウンセラーや不妊治療の知識が豊富な鍼灸師のいる鍼灸院で治療を受けるメリットは、「鍼灸師さんとの時間」です。人とはなかなか話せない内容の悩みをじっくり聞いてもらったり、あなたの悩みに合った生活習慣の指導、ストレスの対処方法、また、次のステップにすすむための病院の情報なども教えてくれると思いますよ。
妊活における年代別の鍼灸治療
特に20代の方は、まずは体調不良や冷えなどを改善や月経のトラブルを改善することで、体調を底上げし自然妊娠に繋がります。
また、30代前半までは、まずは、ご自身でまたは鍼灸治療等で体質改善を図ることで、自然妊娠の可能性は広がります。ただし、期間を決めることをお勧めします。ある一定の期間を過ぎたら、自然妊娠にこだわりすぎず、鍼灸治療などで体質改善して底上げを図りながら、病院やクリニックで不妊治療(排卵のチェックなどによるタイミング指導や体外受精も視野に入れながら)も合わせて行いましょう。
30代後半、40代の方は、自然妊娠にこだわらず、体外受精も視野に入れながら病院やクリニックで不妊治療に取り組みながら、鍼灸治療で体調を底上げして行きましょう。