妊娠に質の高い睡眠を。ぐっすり眠るためのセルフケア|妊娠しやすい身体を作る② 睡眠編

妊娠しやすい身体作りに心がけたいことや、自宅でできるセルフケアを紹介しています。

今回のテーマは、睡眠です。

睡眠は、妊娠にとっても、健やかに生活するためにも欠かせません。私たちの身体は睡眠をとることで、その日に生じた脳や消化器系、自律神経系、ホルモン系、免疫系などの不具合をリセットします。寝ることは、次の日の活動に備える重要な充電時間なんですね。

ブログでは、睡眠と妊娠の関係と、質の高い睡眠のためのセルフケアを4つまとめました。ぜひ、参考にしてください。

「妊娠しやすい身体を作る」シリーズの記事
[BMIと妊娠の関係を知り、標準体重を目指そう|妊娠しやすい身体を作る①体重編]

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睡眠ホルモン・メラトニンが、卵子の質を高める

睡眠には、メラトニンと呼ばれるホルモンが影響しています。

メラトニンは体内時計を調整するホルモンです。夜になると眠くなるのは、メラトニンの働きによるものなんですね。さらにメラトニンは、卵子の質にも大きく関係します。

卵子の質があまりよくない体外受精患者さんにメラトニンを投与すると、卵胞液中の酸化ストレスが軽減し、卵子の質や成熟率、受精率の改善が期待されるという報告があるそうです。

Importance of Melatonin in Assisted Reproductive Technology and Ovarian Aging Int. J. Mol. Sci. 2020, 21(3), 1135; 

ホルモンは寝ている間に作られるため、睡眠は卵子の質に良い影響を与えると考えられます。

「妊娠しやすさ」に関わる睡眠障害

続いては、睡眠時間と妊娠のしやすさについての研究結果を見てみましょう。

研究によると、8時間睡眠と6時間未満睡眠の人を比べたとき、6時間未満睡眠の人にはわずかな妊孕性の低下が見られました。また、睡眠障害がある場合は、その頻度が妊孕性に影響します。とくに、半分以上の頻度で睡眠障害があると、妊孕性は明らかに低下します。

いっぽうで、勤務形態(シフト制勤務や夜勤)は妊孕性には影響しないという結果だったそうです。

Female sleep patterns, shift work, and fecundability in a North American preconception cohort study. Willis SK, Hatch EE, Wesselink AK, Rothman KJ, Mikkelsen EM, Wise LA. Fertil Steril. 2019 Jun;111(6):1201-1210.e1. doi: 10.1016/j.fertnstert.2019.01.037. Epub 2019 Apr 12.

さらに、睡眠障害が精子濃度や精子総数に影響するという研究結果もあります。睡眠時間が7〜7.5時間の人を基準にしたとき、睡眠が6.5時間以下でも9時間以上でも、総精子数が減少する傾向があるそうです。

Qing Chen, Huan-Yang,Niya Zhou,Lei Sun,Huaqiong Bao,Lu Tan,Hongqiang Chen,Xi Ling,Guowei Zhang, Linping Huang, Lianbing Li, Mingfu Ma, Hao Yang, Xiaogang Wang, Peng ZouKaige Peng,Taixiu Liu, Zhihong Cui,Lin Ao, Till Roenneberg, Ziyuan Zhou, Jia Cao:Inverse U-shaped Association between Sleep Duration and Semen Quality:Longitudinal Observational Study (MARHCS) in Chongqing, China.
Sleep, Volume 39, Issue 1, 1 January 2016, Pages 79–86

睡眠障害(不眠症)とは、寝つきが悪い(入眠障害)、途中で目覚める(中途覚醒)、朝起きてしまってその後眠れない(早朝覚醒)、ぐっすり眠れない(熟眠障害)などの睡眠の問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出ている状態をいいます。

厚生労働省の提供する情報サイト e-ヘルスネットより)

上記のような傾向があるときは、鍼灸治療も効果的です。ぜひご相談ください。

生活習慣を見直そう。睡眠の質を高めるセルフケア4つ

では、どのような睡眠が質の高い睡眠なのでしょうか。

理想的な睡眠の条件は、次の3つと言われています。

  • 布団に入ったら自然に眠くなる(寝つきが良い)
  • 夜中に目覚めない(ぐっすり眠る)
  • 朝、自然に目が覚める(寝起きスッキリ)

すべての条件をクリアしているという人は、5人に1人なのだそうです(平成30年:厚生労働省 調査)。身体はとてもデリケートなもの。「明日は早く起きなきゃ」と思っているほど眠れなかったり、試験やイベント前に緊張して寝付けなかったりと、「眠れない日」があることは、珍しくありません。

とはいえ、ぐっすり眠れると気持ちがいいですよね。妊娠するためには、ストレスフリーな状態が理想です。睡眠の質を高めるセルフケアを4つ、まとめました。

1. 適度な運動で身体を動かす

運動習慣のある人には、不眠が少ないとされています。

運動をすると、身体が疲れて寝付きがよくなり、深い睡眠が得られるそうです。毎日のウォーキングやラジオ体操など、継続的に運動しましょう。

2. 入浴

入浴の睡眠効果は、体を温めることにあります。体調や自分の好みに合わせて入浴し、睡眠の質を高めましょう。

3. 体内時計の調整

体内時計は、「起きたときに太陽の光を浴びること」と「夜の照明に気を使う」の2つの対策で調整できます。とくに夜の照明は、部屋の明かりを暖色系の蛍光灯にするのが良いそうです。

体内時計の調節は、メラトニンの分泌も促進してくれます。ただし、寝る前のPC作業やテレビ、スマートフォンなどの利用には注意しましょう。それらの電子機器が発する光によって、脳が「昼間だ!」と錯覚してしまい、メラトニンの分泌量が低下してしまうそうです。寝る前の2-3時間前には、照明を暗くしたり、スマホなどの画面を見ないように心がけたいですね。

4. 食事

消化活動は睡眠を妨げるため、寝る前の食事は避けましょう。また、コーヒー・緑茶・チョコレートなどのカフェインが含まれる飲食物も、夜は控えたいですね。


軽めのアルコールは寝つきを良くしますが、飲み過ぎは明け方の睡眠を妨げてしまいますし、深酒による睡眠は、熟睡ではなくほぼ気絶に近いので、まったく別物です。

どのくらいの時間寝る?

そして、「どのくらいの時間寝ればいいの?」も気になりますよね。

理想の睡眠時間は、人によってそれぞれです。厚生労働省では、成人の場合、1日に6-8時間の睡眠を勧めていますが、年齢や性別、生活の状況などによっても変わります。自分にあった睡眠時間を見つけることが重要です。お昼寝をするときは、短時間が効果的ですよ。

お灸やリカバリーウエアで身体を休める方法

最近では睡眠への関心が高まり、着て寝ることで疲労回復を促すリカバリーウエアや機能性の高い寝具が登場しています。そのようなアイテムを取り入れても良いですね。

終わりに、不眠解消に効くツボを紹介します。寝る前のリラックスタイムに、セルフ灸はいかがでしょう。

おすすめのツボ①:失眠(しつみん)

【場所】足の裏側、かかとの中央の少しへこんだところにあるあるツボ。
【効能】不眠解消、むくみ、下半身の冷えなど

おすすめのツボ②:神門(しんもん)

【場所】手のひら側で手首の小指寄りの端にあるくぼみ
【効能】不安、不眠、便秘など

セルフ灸ってどうやるの?という方は、ぜひこちらの記事をどうぞ

家でセルフケア 「お灸をしよう!」

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